新宿区には、江戸時代から続く伝統工芸品を扱うスポットがあります。
今回は、大都会の喧騒から一歩離れ、落ち着いた和の雰囲気と伝統を体験できる「東京染ものがたり博物館」を紹介します。
新宿で染物体験ができる「東京染ものがたり博物館」とは
今の東京といえば、都心部は超高層ビルやマンションが集積し、郊外はベッドタウンとして宅地開発が進んだ街とのイメージが強いと思います。
しかしかつての東京は、京都・金沢と並ぶほど染物の三大産地のひとつに数えられていました。
そんな東京の中でも神田川流域に当たる新宿エリアは、染物の集産地となりました。
そのため現在でも新宿では、現役の工房が伝統を受け継いでいます。
神田川に面した富田染工芸は、1914年創業の老舗工房です。
江戸更紗や東京染小紋を扱っており、伝統的な色柄だけでなくモダンなデザインも数多く制作していますよ。
東京オリンピック・パラリンピックの公式ロゴをあしらった風呂敷クロスも、富田染工芸が手がけ話題となりました。
そして東京染ものがたり博物館は、富田染工芸に併設されたギャラリーです。
大都会新宿にいることを忘れてしまいそうな、ほっと気持ちが和らぐ空間です。
住所:東京都新宿区西早稲田3-6-14
アクセス:面影橋駅(都電荒川線)より徒歩2分
新宿で染物の歴史を学ぶ!
東京染ものがたり博物館では、着物の生地の歴史や製造過程を学ぶことができますよ。
糸や生地の種類、着物に関する基礎知識にいたるまで分かりやすく解説してくれます。
そして工芸品の展示として、さまざまなパターンをあしらった生地が紹介されています。
展示だけでなく、工房の作業場内も公開していますよ。
そこでは実際に染物体験をすることができ、伝統工芸を肌で感じられると好評です。
染物体験をしたあとは、袱紗(ふくさ)や小裂(こぎれ)にしてもらえます。
さらに毎月第3土曜日には染物の実演をしていますから、職人の技を間近で見学したい方におすすめです。
・江戸更紗、江戸小紋とは?
江戸更紗は、型と色をいくつも重ねて染め上げます。
シンプルな図案でも30枚近い型紙を要し、複雑なデザインにおいては300枚もの型紙で染められます。
異国情緒あふれる緻密な柄が特徴的ですが、近年では単色をベースに色を重ねていく柄が人気です。
一方の東京染小紋は、遠目に見ると無地のようです。
しかし近くで見るととても細かな柄で彩られており、カジュアルな場面でもフォーマルな場面でも幅広く活躍するアイテムです。
東京染ものがたり博物館では、これら匠の技によって生み出された作品を展示しています。
また販売もしており、普段使いできる小物が購入できますよ。
まとめ
繁華街やオフィス街でにぎわう新宿に住むなら、今どきの話題のスポットへ行って楽しむのも良いですが、職人の染物技術を間近に体験できるスポットで和の工芸を楽しむのもおすすめです。
時代を超えて受け継がれる日本の伝統工芸を学び、そして日常の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。